(1)停止している車を走り出させる時や、登坂時に必要な力=トルク
(2)エンジンが持つ能力を示す数値=パワー(馬力)
この2つはどの車のカタログにも載っている重要なデータです。
トルクとは、回転力のことです。例えば10kg/mのトルクというと、回転軸に1mの棒を直角につけ、その先端にハカリをつけて計ると10kgを指す大きさの回転させる力ということになります。
車仲間の間では、中低速からの加速時や登坂時、車を引っ張る基本的な力が一般にトルクと呼ばれています。
例えば、2,000回転で坂道にさしかかり、そのままアクセルを踏んだが、一向に加速していかない、このような場合、このエンジンはトルクがないなどど表現したことありませんか?
こんなときは皆さんシフトダウンしてエンジンの回転を上げ、その状態から抜け出していると思います。
エンジンで発生したトルクは、ギアボックスを介し、ドライブシャフトからタイヤに伝達されます。一般的な5速マニュアルでは4,5速以外は減速されますので、タイヤに伝達される回転数はエンジンの回転数に比べ減りますが、トルク(回転力)は増加します。
シフトダウンするということは、減速比をさらに大きくする事であり、トルクは増加します。
また、シフトダウンすることにより、いままでの速度を維持するためにエンジンの回転数を上げなくてはいけません。
その結果、エンジン特性上トルクの厚い領域に入っていきます。そこにさきほど述べた減速機のトルク増加作用が加わり、車は一気に加速出来るのです。
このように、トルクは車を走らせる上で大変重要なスペックになります。
また、パワー(馬力)は、トルクX回転数 で求められます。単位は一般にPS(馬力)で表します。
これはエンジンがどれだけの仕事が出来るかを表します。
ここで難しいのは、同じ馬力のエンジンでも特性は違う、ということです。
例えば、同じ200馬力を持ったAとBのエンジンがあったとします。
Aは高級サルーン用、Bはスポーツカー用とします。
Aは運転のしやすさを求めるために低速からトルクを持たせる設計になっています。
Bは高回転型で、気持ちよく吹け上がるように設計されています。
いま、渋滞に巻き込まれ、トロトロ運転しています。
どちらが運転しやすいですか、なんて聞いたら怒られそうですね。
Aの車は、低回転域からトルクが厚くなるよう設計されていますので、多少ギアの選択を間違ってもトルクが厚い分、車を引っ張ってくれます。(高級サルーンでマニュアルって事はないでしょうが)
Bの車では、低回転域でのトルクが薄いため、ある程度回転を上げてクラッチミートしないとエンストすら起こしそうです。
さあ、渋滞が解消しました。
Aの高級サルーン車はスムーズに加速していきます。その横をBのスポーツカーは一気に追い越し、あっという間に抜き去っていきました。
Aの高級サルーン車は、低回転のトルクはありますが、高回転でのトルクはBのスポーツカーほど厚くはありません。ですからあまり高回転まで引っ張っても加速はそれほど期待できません。
それに対し、Bのスポーツカーは高回転での性能を重視していますので、回転を上げていってもトルクの低下はそれほど起きません。むしろ、トルクのピークが高回転域に来るように設計されています。さらに、エンジン各部の慣性質量やフリクションを減らすようにして高回転域の限界(いわゆるレッドゾーンですね)を上げる設計になっています。
一般的にトルクは中回転域をピークになだらかな曲線を描いています。
パワー(馬力)は、レッドゾーン近くまで右肩上がりに上昇し、一気に落ち込みます。
ここで先ほどお話ししたパワーの式を思い出してください。パワーは回転数に比例しますのでトルクに変化が無ければ、回転が上がればパワーは上昇していきます。
しかし、いつまでもトルクは発生してくれません。ある回転数以上ではトルクは落ちていきます。この落ち込みが回転の上昇よりも大きくなったときがパワーの限界点になります。
後は回転を上げてもトルクはさらに落ち込む一方ですので、パワーカーブは急激に下がっていくわけです。
この限界点の時のパワーがAの高級サルーン車とBのスポーツカーが、ともに200馬力だったわけです。しかし、そのときのトルク発生回転数は全く違います。
つまり、パワーだけみてもその車の特性はわからないということです。
このときにその車の特性を表すのがトルクバンドです。
トルクの盛り上がりがどの回転からどこまであるか、これがトルクバンドになります。
一般にトルクが10〜15kg/m以上(車重により変わってくる)のところでスムーズに加速できると言われています。この領域、トルクバンドが広い車ほど載りやすい訳です。
先ほどの例で言うと、高級サルーンのトルクバンドは比較的低めの回転域、スポーツカーでは高めの回転域設定になっていることがおわかりいただけると思います。
一般にスポーツマフラーは排気抵抗を低く設定し、高回転域でのストレスを少なくするために、大口径パイプを使っています。これは、ある程度エンジン回転が上がった状態で、さらに回転速度を高めるための一定範囲なら有効に作用します。
先ほどの話にでてきた、パワーの限界を思い出してください。回転が上昇しますと、排気もそれに従い増加します。この排気はエキゾーストから触媒、さらにマフラーへと流れていきますが、排気が増加した分排気抵抗も増加していきます。
これがエンジンの仕事のじゃまをしてトルク発生が降下する一因となります。
そのために一般にスポーツマフラーといわれるものの殆どは大口径パイプを用い、さらに高性能を求めるものはストレート構造のサイレンサーを採用して排気抵抗の増加を防いでいるのです。
これでトルクバンドの上限を延ばすことが条件付きで出来ます。
ここで条件付きといったのは、ただ単に排気抵抗を減らせばよいという単純なことではトルク、パワー共に増加しないばかりでなく、場合によっては逆効果になることもあるからです。(このあたりの話については、別の機会に詳しく述べたいと思います。)
排気抵抗を上手に減らすことが出来ますとトルクの落ち込みが減少し、パワーも上昇します。(パワー=トルクX回転数 ですよね)
ところが、ここで困ったことに高回転域で多大の効果のある大口径パイプですが、低回転域ではこれが逆にトルク低下をもたらしてしまいます。
低回転域では排気の量も少なく、それが大口径パイプになったため、その内部の圧力は低下します。エンジンのバルブなどはすべてこの背圧を前提に設計されていますので、これが極端に低くなりますと、本来の性能が発揮されなくなるのです。
その結果、肝心のトルクが細くなってしまい、発進時や中低速時にもたついてしまいます。
つまり、トルクバンドの下限が上がってしまうのです。
一方、トルクをしっかり確保する設計だと(すなわち、背圧を確保する設計)、高回転域が伸びてこない、とても面倒な現象が宿命的に起きてしまうのです。
つまり、口径だけを優先した大口径マフラーは、トルクはおろか、実走行においても走りづらいものになります。
一例としてはレーシングカーが上げられるでしょう。
レーシングカーのマフラーはエンジンの一部として考えられています。
レーシングカーは、エンジンに限りなく有効なトルク特性、パワー特性を発生させるために全長、口径、レイアウト等を考慮したマフラーが必ず装着されているはずです。
いろいろなカテゴリーのエンジンがあると思いますが、極端な口径のマフラーを装着する場合は、限られたカテゴリーだけです。
では、スポーツカーにおける理想のチューニングとは?
当たり前ではありますが、高回転域が伸びるのはもちろんのこと、そのために低、中速域のトルクが犠牲にならないこと。
つまり、トルクバンドの下限が上がらずに高回転側のトルクバンドを延ばす、つまりトルクバンドの広いチューニングこそ理想と考えます。
パワーを伸ばしながら、さらにトルクも延ばしたい。ガナドールではマフラーはエンジンの一部と考え、多くの試行錯誤と苦心の結果、すべてのサイレンサー内部とそのレイアウトでトルクアップ機構をいくつか組み入れました。
例えば、脈動波(エンジン内の爆発による衝撃波)をうまく利用し、反射波を発生させ、大きく確保した排気効率を損なうことなく、トルクを上げることなどもその一例です。
車のエンジンはとても複雑で、同じメーカーでも車種の違いで 全く違う特性を示します。
ガナドールマフラーは、消音器のサイズ、内部の設計、レイアウトのどれも共通品がありません。
そのエンジン特性にあわせたサイレンサーの選択、内部設計、サイズ、レイアウトにしたために共通のパターンを作ることが出来ないのが本当のところです。
ガナドールでは力強いスタート感覚、胸のすくような広いトルクバンド、とどまるところのないようなパワーバンド、さらに切れの良いサウンド、手の込んだ構成デザイン等、すべての検査に合格した証にテールエンドの両サイドにガナドールマークを刻印してお届けしてます。